会社設立の2つの形態


1 株式会社

現在、日本で設立できる会社形態は、法律上は「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4つですが、【出資者の有限責任】という観点から「株式会社」と「合同会社」が実務上採用されています。

中でも「株式会社」はその知名度から圧倒的に採用されている会社形態です。株主から出資を募り、容易に資金調達ができるというメリットも人気の理由です。

 ただし、「合同会社」と比較した場合、設立費用の負担およびその後の手続の多さがデメリットといえます。

具体的には、法務局に納める登録免許税は「合同会社」の場合「資本金額×0.7%」で6万円に満たない場合には、6万円となるのに対して「株式会社」は「資本金額×0.7%」となるのは同じであるものの、その金額が15万円に満たなければ一律15万円となります。

更に「合同会社」の場合には、会社の根本規則である『定款』の認証は不要ですが「株式会社」は本店所在地を管轄する法務局に対応する公証役場で『定款』の認証を受ける必要があり、その際の費用が3万円から5万円必要となります。

また、「合同会社」には決算公告の義務はありませんが「株式会社」には毎年決算時の公告義務があり、官報に掲載すると約7万円、電子公告の場合であっても1万円程度の経費が掛かります。

そうは言っても、日本に存在する会社の約96%が「株式会社」であることから「株式会社」形態を採用していない場合には「どうしてなんだろう?」と第三者から思われてしまうというのは否定しがたいところだと思います。

 

2 合同会社

「合同会社」は「株式会社」ほどの知名度はありませんが、【出資者の有限責任】という点においては株式会社と同様であることから近時注目されている会社形態です。

この形態を採用した場合のメリットの第1は設立時の費用の節約です。「株式会社」と比較すると約12万円から14万円抑えることが出来ます。また「株式会社」と異なり毎決算時の公告義務もありません。

更に「株式会社」とは異なり、役員(『業務執行社員』といいます)には任期が無いので設立後の重任登記も不要です。そのため、1万円または3万円の登録免許税も掛かりません。

こう考えると、いいことずくめのようにも思えますが、「合同会社」の場合「株式会社」と異なり、代表者は「代表取締役」ではなく「代表社員」という名称になります。従いまして、初めての取引先と対面する場合にはその点を説明する必要があるでしょう。

また、資金調達の面から考えても、「合同会社」の場合株式の発行が出来ないので、金融機関からの融資および国・自治体からの補助金や助成金に頼らざるを得ず「株式会社」より資金調達の方法が限定されるデメリットがあります。

 

3 まとめ

以上、色々と述べてまいりましたが、「株式会社」と「合同会社」のどちらを選択するのかは、事業内容および将来の展望等様々な観点から慎重に決定すべきです。

当事務所はこれまでに数多くの会社設立手続を受任した実績があります。どちらの会社形態を採るべきか迷われている方は是非ご相談ください。